無理があるんです・・・
茨城県で児相職員がまた暴力被害を受けました。
子どもを一時保護するために自宅訪問した職員(※児童福祉司なのか児童心理司なのかは不明)が殴られ、止めに入った母親は包丁で切られたそうです。
“一時保護の要否を判断するために訪問した”ではなく、“一時保護するために訪問した”ということが事実であれば、親子分離が必要だという確かな情報が訪問前に既に児相には寄せられ、それで警察も同行したと言うことになります。
この対応、当たり前のように思うかもしれませんが、諸外国の制度に比べるとかなり変なのです。
日本の場合には、“親子分離が必要なほどの児童虐待”であっても、まずは福祉行政(=児童相談所)が前面にたって動くことになっています。今回の事例もまさにそのパターンですが、実は多くの国では子どもの身に危険が及ぶような状況下では、福祉の対応ではなく司法(警察や裁判所)が前面にたつことになります。
アメリカでは子どもをひとりで留守番させるだけでも親が逮捕される
ちょっと極端な例と思われるでしょうが、アメリカの多くの州では、こどもを独りで留守番させてはならないという州法もしくはガイドラインが有り、これに違反しただけで親が逮捕された事例もあります。
ニュージーランドでは明確に14歳以下の子どもの留守番を禁じる法律があり、オーストラリアでも12歳以下の子に留守番させた場合に最大3年間の禁固刑が科せられる州もあるのです。
私はなにもそこまで厳しく法律で規定した方が良いと言っているわけではありませんし、諸外国がいつも正しいと言っているわけでもないのですが、日本では子どもの体にいくつもの痣があっても親が逮捕されることは希であり、警察でもない地方公務員が丸腰で危険な業務を強いられることがあるのです。
実は私自身、かつて福祉の現場で働いていた頃になんども身の危険を感じることがありました。子を虐待する親が職場に殴り込んできて私の座っている椅子を蹴り続けたり1時間以上も間近で怒鳴り続けられたりしたこともあるのですが、警察は助けてくれませんでした。警察官の中には個人的には立派な人もいるのですが…
一昨年には児相職員が親から刃渡り16㎝の包丁で切られて重傷を負う事件がありましたが、マスコミの扱いは小さかったですね・・・
確かに児相職員の対応に問題のあるケースも見受けられますが、そもそも日本の虐待対応の制度自体が非常に特殊であり無理があるという現状をマスコミももう少し理解し、厚生労働省などの関係省庁も抜本的な発想の転換をしてほしいものです。
結局、福祉行政は子どものケアに手が回らず、措置先の施設や里親が苦しんでも十分な支援をする人間がいないということになっているのです。
日本はガラパゴス化していると思います・・・