まずはこのポスター(↑)にも描かれている九試単座戦闘機(きゅうしたんざせんとうき)。
※“ガルウィング”とはカモメの翼のこと。
逆ガル翼を取り付けることで、直径の大きなプロペラを採用することができたり、
爆弾取り付の作業性を向上させたり、胴体を地面から離しつつ主脚を短く設計できる等の利点が
あるわけですが、それだけではなくデザイン的な美しさも兼ね備えています。
工業デザインはパソコンだけを用いて生み出すものではなく、
アナログな感性(センス)が大切なのだと思うのです。
劇中では国家から革新的な戦闘機の制作を課される場面がありますが、史実でも焦臭い時代に
(山本五十六から) 出され、昭和10年に試作機が完成。
審査の結果、三菱機(=本機)が採用されました。日本海軍初の全金属単葉戦闘機であり、
諸元性能の飛躍が見られるエポックメイキングな機体でもあったわけです。
当時、三菱航空機などの航空機製造工場の多くが愛知県にありました。
当時日本の工業技術の中心地は愛知県だったのかもしれません。
航空機・発動機製造会社で、エンジンや機体の開発を独自に行う能力を持ち、
自社での一貫生産を可能とする高い技術力を備えた世界有数の航空機メーカーでした。
創設者は中島知久平。日本の軍事力の強化とともに急速に発展を遂げたのですが、
15社に解体されたのですが、同社の技術者の多くは自動車産業へ転進し、
日本の自動車産業の発展に多大な貢献をしました。
解体された会社のうち現在でも存続しているのは、中島飛行機を前身とする5社が後に合併して
だったそうで、その“飛行機好き”は血筋かもしれません。
前妻を結核で亡くしており、この映画の影のモデルとも言えます。
なお、機体は三菱製でもエンジンは中島飛行機製 という組み合わせのこともあったようです。
さて、劇中には、ジャンニ・カプローニというイタリア人がたびたび登場するのですが、
これも実在の人物です。
9枚翼で100人乗りの旅客機とは、さすがに宮崎駿らしい架空の飛行機かと思ったのですが、
なんと実在したものでした。。。
さて話は代わって、日産パオのデザインは古場田良郎さんによるものですが、その製造は
だと分かります。 愛知機械工業の前身は愛知時計製造株式会社ですが、昭和18年に
数多くの戦闘機を開発製造しています。
戦後、日本の製造業が飛躍的に発展したといわれますが、そのベースには愛知県を中心とした
航空機製造技術があり、その後の自動車産業の礎ともなったのでしょう。
そんなふうに『風立ちぬ』を見る人はほとんどいないでしょうが・・・・
設計者の強烈な個性が出ているような車がもっと増えてほしい・・・・・
最近の市販車は面白くない。